日曜の台所で米がココナッツ色に変わる
鍋のふたを少しだけ開けると、米の白い湯気にココナッツ、タイム、にんにく、赤い豆の香りが混ざって上がってきます。ジャマイカのライスアンドピーズは、名前だけ見るとグリーンピースごはんのようですが、ここでいう peas は主に赤いんげん豆のことです。ジャマイカでは red peas と呼ばれ、日曜の食卓や昼食の皿で、ジャークチキン、カレーゴート、オックステールの横にいる定番の豆ごはんです。

日本の豆ごはんと違うのは、豆だけでなく、豆の煮汁、ココナッツミルク、ピメントと呼ばれるオールスパイス、丸ごとのスコッチボネットを一緒に炊くところです。辛い唐辛子を刻んで混ぜる料理ではなく、香りだけを米に移して最後に取り出す家庭も多いので、辛いものが得意でなくても作れます。
この記事では、平日の台所でも作りやすい缶詰の赤いんげん豆を基本にします。乾燥豆で作る濃い赤色の版、長粒米がないときの日本米版、辛さを抑える版も後半で分けます。米料理なので水分の数字は細かく見えますが、コツは単純です。米を入れる前に、鍋の中の煮汁を「少し濃いスープ」として完成させておく。そこまで決まれば、あとは弱火で蒸らすだけです。
英語では Jamaican rice and peas と書きます。ジャマイカの文脈では peas が赤いんげん豆を指すことが多く、緑の豆を入れる料理ではありません。pimento は日本のピーマンではなく、オールスパイスの実を指します。
代替食材|守る香りと替えてよい材料

ライスアンドピーズは材料が少ないぶん、何を替えるかで味が大きく変わります。日本の台所で全部を現地通りにそろえる必要はありませんが、ココナッツ、ピメント、タイムの三つは残すと、豆ごはんではなくジャマイカの皿に近づきます。
| 迷う材料 | 使いやすい選択 | 味の違い |
|---|---|---|
| 赤いんげん豆 | 缶詰なら時短、乾燥豆なら色と香りが濃い | 缶詰は軽い仕上がり。乾燥豆は煮汁が赤く、米の色が深くなる |
| ピメント | 粒が理想、粉はお茶パックに入れる | 粉を直接入れると米全体が茶色くなり、香りが強く出やすい |
| スコッチボネット | 丸ごと、または食卓でホットソース | 刻むと辛くなりすぎる。丸ごとは香り中心 |
| 米 | 長粒米が扱いやすい | 日本米は粘りやすいので水分を30ml減らす |
| ココナッツミルク | 無糖の缶 | ココナッツ飲料や甘いクリームは水分と甘さがずれる |
乾燥豆で作る場合は、赤いんげん豆120gを一晩水に浸けます。翌日、水700ml、にんにく1片、しょうが4g、オールスパイス粒4粒と一緒に弱めの中火で60〜75分煮て、豆が指で軽く押せる柔らかさになったら煮汁を420ml取り分けます。以降は缶詰版のココナッツミルク200mlと合わせ、作り方の2から進めます。煮汁が足りない場合は水を足して420mlにします。
スコッチボネットがないときは、生のハバネロを丸ごと使う方法もあります。ただし香りの丸さは少し変わります。辛味を完全に避けたい日は唐辛子を鍋に入れず、食卓でホットソースを数滴だけ使う方が失敗しにくいです。
失敗原因|水っぽい、硬い、辛すぎるを直す

米料理の失敗は、味付けよりも水分と火加減に出ます。とくにココナッツミルクは脂肪分があるため、普通の水だけで炊く米より重く感じやすいです。最初の一回は、鍋のサイズを小さくしすぎず、ふたがしっかり閉まるものを使うと安定します。
| 状態 | 主な原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 水っぽい | ココナッツミルクが多い、弱火が弱すぎる | ふたを外し、弱めの中火で2〜3分だけ水分を飛ばす |
| 米に芯がある | 水分不足、火が早く落ちた | 熱湯大さじ3を回しかけ、弱火で5分炊いて10分蒸らす |
| 粘る | 日本米で水が多い、途中で混ぜた | 次回は水を30〜50ml減らす。炊飯中は混ぜない |
| 辛すぎる | 唐辛子が破れた | すぐ取り出し、ココナッツミルク大さじ2と温かい米を足して薄める |
| 香りが薄い | ピメントとタイムが少ない | オールスパイス粒を増やし、乾燥タイムは小さじ1を守る |
| 底が焦げる | 火が強い、鍋底が薄い | 弱火に落とし、炊飯中に鍋を少しずらして火当たりを分散する |
焦げた場合、鍋底をこそげて混ぜないことも大事です。上の米だけを別皿に移し、焦げの香りを広げないようにします。少しの鍋底の色づきはカリブの一鍋ごはんらしい香ばしさになりますが、黒く苦い焦げは全体を重くします。
食べ方と保存|ジャークチキンの横に置く理由

一番わかりやすい組み合わせは、香りの強いジャークチキンです。肉の辛さ、焦げた香ばしさ、ライムの酸味を、ココナッツの米が受け止めます。朝食寄りならアキー・アンド・ソルトフィッシュの塩気とも合います。魚の日は、塩魚をココナッツミルクで煮るランダウンに少量添えると、同じココナッツ香でも「米で受ける料理」と「魚にまとわせる料理」の違いが見えます。
カリブ海の豆ごはんとして比べるなら、トリニダードのペラウは鶏肉も豆も同じ鍋で炊く一鍋料理です。米と豆の組み合わせを広げたい日は、ガーナのワチェも近い入口になります。プエルトリコのモフォンゴやハイチのグリオのような強い主菜に添えると、カリブの皿として組み立てやすくなります。
皿に盛るときは、ライスアンドピーズを肉の下敷きにしすぎない方が食べやすいです。米の半分を広く置き、横に主菜、手前に酸味のあるサラダやライムを置くと、ココナッツの丸さ、肉の焦げ、酸味が順番に来ます。辛いソースは最初から米全体にかけず、皿の端に少し置きます。米が辛味を吸いやすいので、最初から混ぜると後半が単調になります。
保存は米料理として扱います。炊き上がったら食べる分を先に取り、残りは浅い容器に広げて粗熱を早く抜きます。室温に長く置かず、2時間以内に冷蔵庫へ入れます。冷蔵は2日を目安にし、温め直すときは水小さじ2をふってふたをし、電子レンジ600Wで2〜3分、または小鍋で弱火5分ほど、湯気がしっかり立つまで温めます。冷凍する場合は1食分ずつ平たく包み、2〜3週間で食べ切ると食感が保ちやすいです。
FAQ|ライスアンドピーズの疑問

グリーンピースで作ってもいいですか?
別の豆ごはんにはなりますが、ジャマイカの rice and peas らしさは出にくいです。まずは赤いんげん豆、またはgungo peasと呼ばれるキマメ系の豆を使う方が近づきます。
缶詰の豆は洗いますか?
このレシピでは洗わず、缶汁150mlを炊き汁に使います。豆の色と香りを米に移すためです。缶汁の塩気が強い製品なら、缶汁を100mlに減らし、水を320mlにしてください。
スコッチボネットは必須ですか?
香りとしては大事ですが、辛さが苦手なら入れなくても成立します。入れる場合は丸ごと使い、破らないことが肝心です。食卓でホットソースを足す方法なら、家族の辛さを分けられます。
炊飯器で作れますか?
作れます。作り方の3まで鍋で煮汁を作り、米と一緒に炊飯器へ移して普通炊きにします。スコッチボネットは炊飯前に上へ置き、炊き上がったらすぐ取り出します。炊飯器は蒸気口に香りが残るので、使用後は内ぶたを洗ってください。
ココナッツミルクが分離しました。
鍋の中で小さな白い油分が浮く程度なら問題ありません。強火で沸かし続けると分離が目立つので、米を入れる前の煮汁は中火から弱火でふつふつに抑えます。
翌日にお弁当に入れられますか?
できますが、保存は慎重にします。浅い容器で早く冷まし、2時間以内に冷蔵します。翌朝は中心までしっかり温め、湯気が立った状態で詰め、保冷剤を使ってください。
参考にした現地・公的情報
- Jamaican Foods and Recipes「Jamaican rice and peas recipe」: https://jamaicanfoodsandrecipes.com/jamaican-rice-and-peas-recipe/
- Food Network Kitchen「Jamaican Rice and Peas」: https://www.foodnetwork.com/recipes/food-network-kitchen/jamaican-rice-and-peas-19549684
- Grace Foods「Gungo Peas and Rice」: https://gracefoods.com/recipe-a-z/recipe/5287-gungo-peas-and-rice
- FDA「Safe Food Handling」: https://www.fda.gov/food/buy-store-serve-safe-food/safe-food-handling













