バナナの葉にのせたフィリピンのチキンイナサル。炭火で焼いた鶏肉にガーリックライスとカラマンシーを添えた一皿
🔪下準備3時間30分
🔥調理45分
🍽️分量4
🌍料理フィリピン料理
東南アジアレシピ

チキンイナサルの作り方|バコロドの炭火鶏

43分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

調理工程スライド
手順1: 鶏肉を整える(所要時間: 8分)
STEP 11 / 6

鶏肉を整える(所要時間: 8分)

鶏もも肉1.2kgの余分な脂を軽く取り、厚い部分に浅い切り込みを入れます。骨付きなら骨に沿って1本切り目を入れると火が入りやすくなります。洗わず、表面の水分をキッチンペーパーで拭いてください。

切り込みは深さ5mmほどに留め、1枚肉なら厚さが3cmを超える部分だけ開きます。肉の厚みがそろうと、表面だけ先に色づいて中心が生に残る失敗を避けやすくなります。

手順2: マリネ液を作って漬ける(所要時間
STEP 22 / 6

マリネ液を作って漬ける(所要時間

3時間以上)

ボウルにココナッツ酢80ml、カラマンシー果汁60ml、みじん切りのレモングラス、にんにく、しょうが、砂糖、塩、黒こしょうを混ぜます。鶏肉を入れて全体になじませ、冷蔵庫で3〜8時間漬けます。酢と柑橘が強いので、ひと晩を超えて長く置くと食感がやわらかくなりすぎます。

手順3: アナトー油を作る(所要時間
STEP 33 / 6

アナトー油を作る(所要時間

10分 + 置く時間20分)

小鍋に油80ml、アナトーシード大さじ2、薄切りにんにく2片を入れ、弱火で5〜6分温めます。油が赤橙色になったら火を止め、20分置いて香りと色を移します。こしてからバター20gを混ぜます。半量は焼きながら塗る用、半量は仕上げのごはん用に分けてください。

にんにくの縁が薄いきつね色になり、油が透明な橙色に染まったところで止めます。茶色い細かい焦げが出る前に火から外すと、苦味が残りません。バターは余熱で溶かし、油と一体になってつやが出るまで混ぜます。

手順4: 竹串に刺し、常温へ寄せる(所要時間: 30分)
STEP 44 / 6

竹串に刺し、常温へ寄せる(所要時間: 30分)

竹串を水に30分つけます。鶏肉をマリネから取り出し、表面の香味野菜を軽くぬぐって串に刺します。冷蔵庫から出して20〜30分置き、中心の冷たさを少し抜きます。マリネ液はそのまま捨てるか、使う場合は小鍋で中火にかけて沸騰させてから焼き用の油に少量混ぜます。

大きい鶏もも肉は串を2本平行に刺し、肉が回転しないようにします。表面の水分が軽く乾き、触ると冷蔵庫から出した直後の硬さが抜け、全体がしっとりまとまった状態で次へ進みます。

手順5: 炭火で焼く(所要時間
STEP 55 / 6

炭火で焼く(所要時間

25〜35分)

炭が白い灰をかぶり、手を網の上10cmにかざして3秒ほどで熱くなる状態にします。皮目を上にして弱めの直火で8分、返して6分焼きます。その後は2〜3分ごとに返し、アナトー油を薄く塗りながら合計25〜35分焼きます。砂糖と皮の脂で焦げやすいので、炎が上がったらすぐ火の弱い場所へ逃がします。

焼き上がりは皮が濃い黄金色で、切り込みの奥から透明な肉汁が出る状態です。黒く焦げた部分が増える前に場所を移し、中心温度74度Cに届くまで弱い火で仕上げます。

手順6: 中心温度を確認して休ませる(所要時間: 5分)
STEP 66 / 6

中心温度を確認して休ませる(所要時間: 5分)

骨に当てないように温度計を厚い部分へ刺し、中心温度74度Cを確認します。温度計がない場合は、骨の近くまで切って透明な肉汁と白く火の通った肉を確認しますが、色だけでは安全確認として弱いので温度計が安心です。焼けたら皿に移し、5分休ませます。ガーリックライス、鶏油、カラマンシーしょうゆ、酢の小鉢を添えて出します。

一度にたっぷり塗ると油が炭へ落ち、炎が上がって皮だけ焦げます。アナトー油は薄く、何度も重ねる方が色も香りもきれいにつきます。照り焼きのタレのように厚く塗る料理ではありません。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料スライド
材料

買い出しの前に

チキンイナサルの材料。鶏肉、カラマンシー、レモングラス、しょうが、にんにく、アナトーシード、酢、竹串
チキンイナサルは材料の数より、酸味、香草、アナトー油の役割を分けて考えると作りやすい

骨付きの鶏もも肉が最も現地らしいですが、日本のスーパーでは骨付きももが常にあるとは限りません。初回は骨付きぶつ切り、骨付きもも、または大きめの鶏もも肉で作ってください。骨なし肉なら焼き時間は短くなりますが、炭火の満足感は少し軽くなります。

9品目

鶏肉とマリネ

材料 分量 代替・備考
鶏もも肉(骨付き) 1.2kg 骨なし鶏もも肉なら1kg。鶏むね肉だけだと乾きやすい
ココナッツ酢 80ml 米酢50ml + りんご酢30mlで代用可
カラマンシー果汁 60ml すだち、ライム、レモンを混ぜる。レモンだけなら少し鋭い
レモングラス 2本 冷凍みじん切りなら大さじ2。乾燥品は香りが弱い
にんにく 8片 すりおろしと粗みじんを半分ずつ
しょうが 30g すりおろす。チューブなら大さじ1弱
砂糖 大さじ1 黒糖、きび砂糖でも可。甘くしすぎない
小さじ1と1/2 骨なし肉なら小さじ1強から
黒こしょう 小さじ1 粗びき
6品目

アナトー油と仕上げ

材料 分量 代替・備考
アナトーシード 大さじ2 アチョーテ、アツエテ表記もある。粉なら小さじ2
米油またはサラダ油 80ml 本場寄せなら鶏皮を焼いて取った鶏油を半量混ぜる
にんにく 2片 薄切り
バター 20g 香りづけ。省いてもよい
竹串 4〜8本 30分水につけて焦げを防ぐ
バナナの葉 適量 省略可。器に敷くと雰囲気が出る
7品目

食べるときの小鉢

材料 分量 代替・備考
温かいごはん 4杯分 ガーリックライスにすると現地食堂感が出る
にんにく 3片 ごはん用。薄切りを油で色づける
しょうゆ 大さじ2 カラマンシーしょうゆ用
カラマンシー果汁 大さじ1 すだち、ライム、レモンで可
大さじ3 唐辛子、玉ねぎ、にんにくを入れてシナマック風に
きゅうり、トマト 適量 口直し
アチャラ(青パパイヤの甘酢漬け) 適量 なければ大根とにんじんの甘酢漬け
アレルギーと食品安全

この料理には鶏肉、乳製品(バターを使う場合)、大豆(つけだれのしょうゆ)が含まれます。生の鶏肉を漬けたマリネ液をそのまま仕上げに使わないでください。使う場合は小鍋で1分以上しっかり沸かし、別に取っておいたアナトー油と混ぜます。

アナトーシードとココナッツ酢は、普通のスーパーでは見つからないことがあります。この2つは一度買うと、フィリピン料理や中南米料理にも使えます。チキンイナサルを繰り返し作るなら、まずここを見る価値があります。

ココナッツ酢は酸がやわらかく、米酢よりも南国の発酵感があります。なければ代替できますが、香りを寄せたい人は探してみてください。

屋外で焼くなら長めの竹串が便利です。魚焼きグリルで作る場合も、串に刺すと返しやすくなります。


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買い出しガイド
掲載商品は、複数の販売先を定期的に確認し、価格・内容量・レビュー傾向・購入しやすさを比較したうえで選定しています。
📊 栄養情報(1人分)
155
kcal
10.5g
タンパク質
10.0g
脂質
4.8g
炭水化物
0.5g
食物繊維
363mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。
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4人分

材料(4人分)|日本で揃える酸味、香り、アナトー油

チキンイナサルの材料。鶏肉、カラマンシー、レモングラス、しょうが、にんにく、アナトーシード、酢、竹串
チキンイナサルは材料の数より、酸味、香草、アナトー油の役割を分けて考えると作りやすい

骨付きの鶏もも肉が最も現地らしいですが、日本のスーパーでは骨付きももが常にあるとは限りません。初回は骨付きぶつ切り、骨付きもも、または大きめの鶏もも肉で作ってください。骨なし肉なら焼き時間は短くなりますが、炭火の満足感は少し軽くなります。

鶏肉とマリネ

材料 分量 代替・備考
鶏もも肉(骨付き) 1.2kg 骨なし鶏もも肉なら1kg。鶏むね肉だけだと乾きやすい
ココナッツ酢 80 ml 米酢50 ml + りんご酢30 mlで代用可
カラマンシー果汁 60 ml すだち、ライム、レモンを混ぜる。レモンだけなら少し鋭い
レモングラス 2 本 冷凍みじん切りなら大さじ2。乾燥品は香りが弱い
にんにく 8 片 すりおろしと粗みじんを半分ずつ
しょうが 30 g すりおろす。チューブなら大さじ1弱
砂糖 大さじ1 黒糖、きび砂糖でも可。甘くしすぎない
小さじ1と1/2 骨なし肉なら小さじ1強から
黒こしょう 小さじ1 粗びき

アナトー油と仕上げ

材料 分量 代替・備考
アナトーシード 大さじ2 アチョーテ、アツエテ表記もある。粉なら小さじ2
米油またはサラダ油 80 ml 本場寄せなら鶏皮を焼いて取った鶏油を半量混ぜる
にんにく 2 片 薄切り
バター 20 g 香りづけ。省いてもよい
竹串 4〜8 本 30分水につけて焦げを防ぐ
バナナの葉 適量 省略可。器に敷くと雰囲気が出る

食べるときの小鉢

材料 分量 代替・備考
温かいごはん 4杯分 ガーリックライスにすると現地食堂感が出る
にんにく 3 片 ごはん用。薄切りを油で色づける
しょうゆ 大さじ2 カラマンシーしょうゆ用
カラマンシー果汁 大さじ1 すだち、ライム、レモンで可
大さじ3 唐辛子、玉ねぎ、にんにくを入れてシナマック風に
きゅうり、トマト 適量 口直し
アチャラ(青パパイヤの甘酢漬け) 適量 なければ大根とにんじんの甘酢漬け
アレルギーと食品安全

この料理には鶏肉、乳製品(バターを使う場合)、大豆(つけだれのしょうゆ)が含まれます。生の鶏肉を漬けたマリネ液をそのまま仕上げに使わないでください。使う場合は小鍋で1分以上しっかり沸かし、別に取っておいたアナトー油と混ぜます。

アナトーシードとココナッツ酢は、普通のスーパーでは見つからないことがあります。この2つは一度買うと、フィリピン料理や中南米料理にも使えます。チキンイナサルを繰り返し作るなら、まずここを見る価値があります。

ココナッツ酢は酸がやわらかく、米酢よりも南国の発酵感があります。なければ代替できますが、香りを寄せたい人は探してみてください。

屋外で焼くなら長めの竹串が便利です。魚焼きグリルで作る場合も、串に刺すと返しやすくなります。


煙の中で、レモングラスと鶏油が立ち上がる

焼き鳥の匂いがすると、つい足が止まります。甘辛いタレの香り、炭の煙、皮がはじける音。日本の台所にもなじみのある誘惑ですが、フィリピン西ビサヤ地方のチキンイナサルは、そこにレモングラスと酸っぱい柑橘、アナトー油の橙色が重なります。

チキンイナサル(chicken inasal / inasal na manok)は、鶏肉をココナッツ酢、カラマンシー、にんにく、しょうが、レモングラスでマリネし、炭火で焼きながらアナトー油を塗るフィリピンの炭火鶏です。バコロドではマンオカン・カントリーと呼ばれる鶏焼き屋台街の名物で、皿には白いごはん、鶏油、辛い酢、カラマンシーしょうゆが並びます。

日本で作るときの難所は、本場材料を全部そろえることではありません。守るべき軸は、酸味のある下味、レモングラスの青い香り、焼きながら重ねるアナトー油、そして鶏肉を中心温度74度Cまで安全に焼き切ることです。カラマンシーはすだちやライムで、ココナッツ酢は米酢とりんご酢の組み合わせで、バコロド式の方向へかなり寄せられます。

同じフィリピン料理でも、しょうゆと酢で煮るアドボとは対照的です。アドボが鍋の中で味を深める料理なら、イナサルは煙と油で香りを重ねる料理。パンシット・カントンを大皿で添えると、フィリピンの食卓らしいにぎやかさが出ます。

イナサルという言葉

「inasal」は、ビサヤ語圏で焼く、あぶる、串焼きにする料理を指す言葉として使われます。現地では鶏だけでなく豚や内臓の串焼きにも広く使われますが、日本語検索では「チキンイナサル」が最も見つけやすい表記です。


チキンイナサルの物語|バコロドと西ビサヤの炭火文化

屋台風の炭火台で焼かれるチキンイナサル
炭火の上で鶏肉を並べて焼く西ビサヤ風のイナサル。屋台街では煙そのものが呼び込みになる

チキンイナサルを語るとき、バコロドの名前は避けて通れません。バコロド市政府は2022年11月16日、チキンイナサルを同市の文化財として扱う条例を可決しました。市政府の発表では、マンオカン・カントリーやチキン・アリーと呼ばれる屋台文化が、バコロドの食の顔として育ってきたことが背景にあります。

ただし、この料理はバコロドだけで突然生まれたものではありません。西ビサヤ、特にネグロス島とパナイ島を含むイロンゴ圏の炭火焼き文化の中で育った料理です。イロイロにも鶏の炭火焼き文化があり、UNESCOのCreative Cities Networkでは、イロイロ市が2023年にガストロノミー分野の創造都市として掲載されています。バコロドは「チキンイナサルの街」として強い看板を持ち、イロイロはより広い料理文化の中で鶏焼きや郷土料理を抱えている、と見ると分かりやすいです。

現地情報でよく出てくる地域差は、味の重心です。バコロド式はココナッツ酢やカラマンシーの酸味が前に出やすく、イロイロ系の説明では甘みや香りの丸さが語られることがあります。もちろん店ごとに配合は違います。家庭で作るなら、砂糖を入れすぎず、酢と柑橘の輪郭を残すと、バコロド寄りのすっきりした味になります。

もう一つの特徴は、しょうゆをマリネの主役にしないことです。日本の焼き鳥やアドボの感覚で、しょうゆを多く入れると一気に別物になります。チキンイナサルの色はしょうゆ色ではなく、アナトー(atsuete / annatto)の橙色。香りは甘辛ダレではなく、レモングラス、にんにく、しょうが、酢、炭火の煙です。この違いを守ると、家庭の魚焼きグリルでも「フィリピンの焼き鶏」に近づきます。

現地らしさの芯

材料を完璧にそろえるより、味の順番を守る方が大切です。酸味で下味を作り、レモングラスで青い香りを足し、アナトー油を焼きながら塗り、最後に鶏油をごはんへ少しかける。この流れがあると、日本の鶏もも肉でもイナサルらしくなります。


炭火がない日の焼き方|魚焼きグリル、オーブン、フライパン

アナトー油で照りを出したチキンイナサルの皮
炭火がなくても、皮を乾かしながら焼き、最後にアナトー油を重ねると近い香りになる

炭火は理想ですが、毎回庭で焼ける家庭は多くありません。煙と直火の香りは弱くなりますが、魚焼きグリル、オーブン、フライパンでもチキンイナサルの方向性は出せます。大事なのは、蒸し焼きだけで終わらせず、最後に皮を乾かして香ばしくすることです。

方法 焼き方 向く人 注意点
魚焼きグリル 中火で皮目8分、返して7分、油を塗って追加5〜8分 日本の家庭で最も現実的 焦げが早い。アルミホイルで端を守る
オーブン 220度Cで20分、油を塗って230度Cで10〜15分 一度に多く焼きたい 最後に上火またはグリル機能で皮を乾かす
フライパン 中火で皮目7分、返してふたをして10分、最後はふたを外す 少量を作りたい 直火の煙は出ない。油を入れすぎない
ホットプレート 200度Cで両面を焼き、最後に230度Cで焼き目 家族で焼きながら食べたい 水分が出たらキッチンペーパーで取る

魚焼きグリルで作る場合は、マリネ液をしっかりぬぐいます。香味野菜がついたままだと先に焦げます。焼き始めは皮目を上にし、中火で香ばしさを作ります。途中でアナトー油を塗ると煙が出るので、塗る量は小さじ1ずつ。焦げが強ければ、皮の端だけアルミホイルで覆ってください。

オーブンなら、天板に網をのせて焼くと下に水分が落ち、皮がべたつきにくくなります。220度Cで20分、返してアナトー油を塗り、さらに10〜15分。最後の3分だけ上火を強めると、炭火のような焦げ目に近づきます。どの方法でも中心温度74度Cは変わりません。

色だけで焼き上がりを決めない

アナトー油は鶏肉を早く橙色に見せます。外側が焼けているように見えても、骨の近くがまだ低温のことがあります。FoodSafety.govは鶏肉を165度F、つまり74度Cまで加熱する基準を示しています。家庭では温度計を使うのが最も確実です。


失敗原因とコツ|焦げる、硬い、味がぼやけるを防ぐ

チキンイナサルの失敗は、火が強すぎる、マリネが長すぎる、油を塗りすぎる、しょうゆ味に寄せすぎる、この4つに集まります。日本の焼き鳥の感覚でタレを厚く塗ると、皮が黒くなり、レモングラスと酢の軽さが消えます。

失敗 原因 直し方
皮だけ焦げる 炭火が近い、油を厚く塗った、香味野菜をつけたまま焼いた 火から離し、油は薄く塗る。焼く前に香味野菜をぬぐう
中が生っぽい 骨付き肉を強火だけで短時間焼いた 弱い火の場所で時間を取り、中心温度74度Cまで焼く
肉がぼそぼそ 鶏むね肉だけ、焼きすぎ、休ませ不足 もも肉を使い、焼き上がり後5分休ませる
酸っぱすぎる 酢と柑橘が多い、マリネ時間が長い 砂糖を小さじ1足し、マリネは8時間以内にする
味が薄い 塩不足、肉が大きく切り込みなし 皮目と骨沿いに切り込みを入れ、塩を小さじ1/2増やす
焼き鳥のタレ味になる しょうゆをマリネに多く入れた しょうゆはつけだれ側へ回し、下味は酢と柑橘を主役にする
レモングラスは白い部分を細かく

硬い緑の葉を大きいまま入れても香りは出ますが、鶏肉にからむのは白い根元の柔らかい部分です。包丁の背でたたいてから細かく刻むと、マリネ液に青い香りが移りやすくなります。

鶏油をごはんにかける量は小さじ1から

現地の食堂では、赤橙色の鶏油をごはんにかける楽しみがあります。ただし油なので、最初は小さじ1で十分です。にんにくを炒めたガーリックライスに少し混ぜると、肉を増やさなくても満足感が出ます。

皮を乾かす時間を作る

魚焼きグリルやオーブンでは、後半に皮を上にして水分を飛ばします。ふたをしたフライパンだけで仕上げると、蒸し鶏に近くなります。最後の3〜5分だけふたを外し、油を薄く塗って皮を乾かしてください。


この料理の背景|酸味、煙、鶏油が土地の味になる理由

チキンイナサル、ガーリックライス、酢、野菜を並べたフィリピン風の食卓
チキンイナサルは鶏肉だけでなく、鶏油ごはん、酢、柑橘、野菜まで一緒に食べて完成する

チキンイナサルは、鶏肉の焼き方だけを真似ると少し物足りません。現地で強いのは、食べ方の組み合わせです。鶏肉をかじり、鶏油をごはんへ少し落とし、辛い酢をつけ、カラマンシーしょうゆで味を締める。油っぽくなりそうなところを、酸味と生野菜で戻す。この往復があるから、丸ごとの鶏もも肉を最後まで飽きずに食べられます。

バコロドのマンオカン・カントリーは、料理そのものだけでなく、店を選び、煙の中で焼ける鶏を待ち、ごはんを追加しながら食べる体験として語られます。Philippine News Agencyは、バコロドの観光文脈でもマンオカン・カントリーがよく知られていると伝えています。これは単なる「ご当地グルメ」ではなく、都市の記憶に結びついた食べ物です。

日本の台所でその空気を全部再現することはできません。それでも、皿の構成を寄せることはできます。白ごはんではなく、にんにくを少量の油で炒めたガーリックライスにする。酢の小鉢には刻んだ玉ねぎ、にんにく、唐辛子を入れる。トマトときゅうり、または大根とにんじんの甘酢漬けを置く。ここまでそろえると、鶏肉の味が急に立体的になります。

献立にするなら、汁物は酸っぱいシニガンより、少し重なるので量を小さくします。大皿なら、ルンピアン・シャンハイを前菜にして、主食にパンシット・カントン、甘い締めにサピン・サピンを置くと、フィリピンの祝いの食卓らしくなります。濃厚なピーナッツ煮込みのカレカレと合わせる日は、イナサルの酢を強めにして、重さを逃がしてください。

アナトー油は色だけではない

アナトーは強いスパイスのように香る材料ではありません。主な役割は、油に橙色を移し、焼き色に温かさを出すことです。味の主役にしようと多く入れると、ざらつきや土っぽさが出ます。少量で十分です。


保存と作り置き|生肉の漬け込みと焼いた後を分ける

保存容器に入れたチキンイナサル、ガーリックライス、鶏油
残ったチキンイナサルは浅い容器で冷まし、ごはんや鶏油とは分けて保存する

作り置きでいちばん気をつけるのは、マリネ時間です。酢と柑橘が入るので、鶏肉を丸一日以上漬けっぱなしにすると、肉の表面がやわらかくなりすぎ、焼いたときにぼそっとしやすくなります。前日に仕込むなら、夜に漬けて翌日の昼か夕方に焼くくらいが扱いやすいです。

生の鶏肉を漬けた状態で冷蔵する場合は、密閉袋かふた付き容器に入れ、必ず冷蔵庫で保存します。常温で漬けないでください。焼く30分前に出して、中心の冷たさを少し抜く程度にします。マリネ液を再利用したい場合は、必ず加熱してからにします。

焼いたチキンイナサルは、粗熱を取り、浅い容器に入れて冷蔵で3日を目安に食べ切ります。冷凍するなら1か月以内。再加熱は、電子レンジだけだと皮がしんなりするので、まず電子レンジで中を温め、最後にトースターか魚焼きグリルで2〜3分焼くと香りが戻ります。残りを細く裂き、ガーリックライスや炒め麺に混ぜるのも使いやすいです。

鶏油は清潔な容器に分け、冷蔵で3〜4日を目安に使います。生肉に触れた刷毛を油の容器に戻すと保存できなくなるので、焼く前に小皿へ取り分けてください。残った鶏油は、翌日のごはん、炒め野菜、ビコール・エクスプレスのような辛いフィリピン料理の香りづけにも使えます。


よくある質問

中心まで火が通ったチキンイナサルと温度計
骨付き鶏肉は見た目だけで判断せず、厚い部分の温度や肉汁を確認する

カラマンシーがないと作れませんか?

作れます。すだち、ライム、レモンを組み合わせると近づきます。レモンだけだと香りが鋭くなるので、すだちやライムを少し混ぜると丸くなります。大事なのは、柑橘を完全に抜かないことです。酢だけでは香りが単調になり、チキンイナサルらしい明るい酸味が弱くなります。

アナトーシードがない場合は何で代用できますか?

色だけならパプリカパウダーを少量使えますが、完全な代替ではありません。ターメリックを入れると黄色が強く、別の香りになります。初回はアナトーなしでも焼けますが、料理の見た目と鶏油ごはんの雰囲気はかなり変わります。繰り返し作るなら、アナトーシードかアツエテ粉を用意するのがおすすめです。

骨なし鶏もも肉でも同じように作れますか?

作れます。骨なしなら1kgを大きめに切り、マリネは2〜4時間で十分です。炭火や魚焼きグリルでは、片面6〜7分ずつを目安にし、中心温度74度Cまで焼きます。小さく切りすぎると焼き鳥に近くなるので、1枚肉のまま焼いてから切る方がイナサルらしくなります。

マリネにしょうゆを入れた方が日本人向けですか?

少量なら入れても構いませんが、大さじ1程度にとどめてください。しょうゆを多くすると、チキンイナサルより照り焼きやアドボ寄りになります。しょうゆの味は、食べるときのカラマンシーしょうゆ小鉢で足す方が現地の食べ方に近いです。

子ども向けに辛くない味にできますか?

できます。マリネには唐辛子を入れず、酢の小鉢だけ大人用に唐辛子を入れます。チキンイナサル本体は辛い料理ではありません。子ども向けには、カラマンシーしょうゆを薄めにし、ガーリックライスのにんにくを控えめにすると食べやすいです。

残った肉はどう使うとおいしいですか?

細く裂いて、ガーリックライス、焼きそば、サンドイッチ、サラダに使えます。特におすすめはパンシット風の炒め麺です。残ったチキンイナサルを細切りにし、キャベツ、にんじん、オイスターソース少量と炒めると、炭火の香りが麺に移ります。


参考文献

出典・引用について

この記事は、世界ごはん紀行編集部が各国の料理資料、現地レシピ、食材事情をもとに、日本の家庭で再現しやすい形に整理したものです。

出典
世界ごはん紀行チキンイナサルの作り方|バコロドの炭火鶏
URL
https://sekaigohan.com/recipes/southeast-asia/philippines/chicken-inasal
著者・編集
世界ごはん紀行編集部
更新日
2026年5月12日
主な参考リンク
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